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健康

自己肯定感と自己効力感の高め方について

自己肯定感と自己効力感の高め方について
2021年3月22日
臨床心理学及びポジティブ心理学の両分野における研究により、自己肯定感及び自己効力感の高め方が科学的に確立されています。 今回の記事では前半に自己肯定感と自己効力感、自己受容との違いについて説明し、後半で自己肯定感と自己効力感の具体的な高め方について解説していきます。

自己肯定感や自己効力感とは何か

自己肯定感と自己効力感について説明します。

自己肯定感(self-affirmation)

自己肯定感という概念は臨床心理学者である高垣忠一郎氏が提唱しました。
高垣氏は自己肯定感を「自分自身のあり方を肯定する気持ちであり自分のことを好きである気持ち」と定義しており、自尊感情(self-esteem)とほぼ同じ意味を持ちます。
その後様々な学者によって定義が試みられ、「自らの在り方、価値、存在を積極的に肯定できる感情」「現在の自分を自分であると認める感覚」などと定義されています。
ここで重要なポイントとして、自己肯定感は自分の在り方、価値、存在の全てを肯定する気持ちのことであり、自分の良い部分だけを見て部分的に条件付きで肯定するものではありません。(ex.「私は人に優しくするから良い人間だ」は条件付きの肯定)
自己肯定感はむしろ自己の全てを受容することが必要であり、良いところも悪いところも含めてありのままの自己を尊重し受け入れることで自己肯定感が発生します。言い換えると、自己の全てを無条件で積極的に肯定する態度(自己受容)によって自己肯定感が生まれます。
自己肯定感や自己受容と関連した用語に自己有用感(私は何かの役に立っているという感覚)がありますが、人や社会の役に立つと自己有用感が生まれて自己受容がしやすくなり、その結果自己肯定感が高まりやすくなるという関係性があります。

自己効力感(self-efficacy)

自己効力感という概念はスタンフォード大学の心理学者であるバンデューラ博士が提唱しました。
バンデューラ博士は自己効力感を「自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると自分の可能性を認知していること」と定義しています。
そのため自己効力感は自信に関連し、自己肯定感は心の安定に関連すると言えます。
自己効力感と関連した用語に自己信頼感(今も上手くやっていけてるし今後もなんとかなるだろうと自分を信じている感覚)があり、自己信頼感の大きな一要素として自己効力感があります。
つまり、自分は必要な時に必要なことをできる人間だと自分を認知していると(自己効力感が高い)、今後も何とかなるだろう(自己信頼感が高い)と思えるようになります。

自己肯定感の高め方について

上記で説明した通り、自己肯定感は自己受容(self-acceptance)することによって高まります。
自己受容とは自身が置かれた現状において変化や抵抗しようとせずに満足することであり、自分の現状を理解しようと努め、愛することによって自己受容が達成されます。

瞑想

これに有効なのが瞑想になります。瞑想には自己をただ観察する観察瞑想と呼ばれるものがあり、マインドフルネスにもこの要素が含まれています。
そのため観察瞑想をすることによって自身の現状を理解し、それを受容することによって自己肯定感を高めることができます。
瞑想に関しては過去に詳しい記事があるのでぜひご確認ください。

自分にとって重要な価値観をアウトプット

瞑想以外に自己肯定感を高める方法として、自分にとって重要な価値観をアウトプットすること(話したりノートに書く等)が挙げられます。
自身の価値観をアウトプットすることは自分の在り方や価値観、自身の現状を理解することに役立ち、自己受容に繋がります。
実際にこうしたアウトプットによって自己肯定感が上がり、ストレス反応にプラスの作用が生じることが研究によっても確かめられており、
ミシガン大学のクロッカー博士らの研究グループが85人に実験室でストレステストを行った結果、その前に自分の価値観をノートに書くことによって確認した参加者は対照の参加者と比較してストレスに対するコルチゾール反応が有意に低く、自分の価値観の肯定は神経内分泌および心理的ストレス反応を緩和することが確認されています。
この研究では自分にとって重要な価値観を書くことで人に対する愛情や繋がりを感じる自己超越のプロセスが生じ、その結果自己受容が進み自己肯定感が高まったと結論付けています。

自己効力感の高め方について

上記で説明した通り自己効力感は自信と関連します。そのため自己効力感は自信の高め方とほぼ同じ要因によって高まります。
バンデューラ博士は以下の要因によって自己効力感が高まるとしています。
①達成経験(自分自身による過去の成功体験、達成体験)
②代理経験(自分以外の誰かの成功体験を観察し疑似的に成功体験を積むこと)
③言語的説得(自分に能力があることを言語的に説明され励まされること)
④生理的情緒的高揚(気分が高揚すること)
⑤承認(他人から認められること)
この中でも①が特に重要であると言え、自己効力感が低い時、つまり自信を失っている時には自己の過去の成功体験を思い出すことが有効です。

参考文献