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健康に良い食事|科学的に食べると良い食品、悪い食品

健康に良い食事|科学的に食べると良い食品、悪い食品
2021年1月7日
今回の記事では食べ物が体に及ぼす影響と、健康に良い食品・悪い食品について科学的知識に基づいて解説します。

食べ物が体に及ぼす影響

食事は健康の基本とされています。
アメリカ、日本、ギリシャ等を対象にした疫学研究により、地中海の島民の心血管疾患、がん、肥満、糖尿病、精神疾患などのリスクが有意に少なく、寿命が長いことが判明しています。
この大きな理由として食生活の影響が大きいことが分かっています。

様々な健康上の問題は人体が正常に機能しないこと、つまり代謝が乱れることが原因で発生します。
この代謝の乱れは食べたものに大きな影響を受けます。
詳しく述べると、体内に入れた化学物質(栄養素)は体内の化学反応に影響を与え、その結果どの遺伝子が発現するかに大きな影響を及ぼします。

人ではなくハチの例になりますが、外見的に大きく異なる女王蜂と働き蜂は幼虫時に完全に同じDNAを持ち同じ外見をしているのにも関わらず、ローヤルゼリーを食べるか否かによって遺伝子の発現が変わりどちらに変化するかが決まります。
種類や程度こそ違えどこういった変化は私たち人にとっても同様であり、食事によって人の代謝は簡単に変動します。
そのため、必要な栄養素を摂取しない、特定の栄養素を過剰に摂取する等といった健康に悪い食生活をすると体内の代謝にエラーが生じて様々な健康上の悪影響が生じます。

食べると良い食品、悪い食品

人体には様々な栄養素が過不足なく必要である一方で、食品には栄養素の偏りがあります。
そのため、多種多様な食品をバランス良く適量とることが重要であり、これが全てといっても過言ではありません。
しかし、日本人の多くの食生活には大きな偏りがあり、ある特定の栄養素が過剰であったり過少であったりします。
今回は平均的な日本人にとって少ないもしくは過剰であると推測される栄養素(食品)について取り上げます。

適度に摂取すると良い食品

まず、適度に摂取すると良い食品(多くの人の摂取量が少ないと考えられる食品)として、魚、野菜類、低GI食品(玄米、全粒粉のパン、蕎麦)、鶏肉、発酵食品、オリーブオイル、ナッツ、コーヒー、ワイン、お茶などが挙げられます。
GIとはグリセミックインデックスの略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことです。

魚にはω-3系脂肪酸と呼ばれるEPAとDHAが豊富に含まれます。
ω-3系脂肪酸は人体で合成できないため食事から摂取する必要がある必須脂肪酸に該当します。
ω-3系脂肪酸をとると悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの血中濃度が低くすることができます。
LDLコレステロールは増えすぎると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞を発症させる原因になることが知られています。
LDLコレステロールは食物繊維によって吸収率が低下するため、野菜や果物、海藻、キノコを摂取することも大切です。

野菜類

また、野菜類には食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富なだけでなく、ファイトケミカルと呼ばれる植物にしか存在しない数千種類にも及ぶ栄養素が含まれています。

ワインやお茶、コーヒー

ワインやお茶、コーヒーが健康に良いのはこのファイトケミカルの一つであるポリフェノールが多く含まれているためです。
ポリフェノールは抗酸化作用(体内で発生した活性酸素から人体を保護する効果)を持つため、摂取により代謝のエラーを抑えることができます。

過剰な摂取は控えた方が望ましい食品

次に、過剰な摂取は控えた方が望ましい食品(多くの人の摂取量が多すぎると考えられる食品)として、高GI食品(ごはんやパン、麺類、お菓子やジュース)、動物性タンパク質(牛肉、豚肉)、飽和脂肪酸(揚げ物、スナック菓子、牛肉、豚肉)、塩分(ナトリウム)が挙げられます。

例えば、糖質をエネルギー利用するためにはビタミンが消費されるため、糖質を多く取るとビタミンやミネラル等の他の栄養素が枯渇しやすくなったりします。
血糖値が高い状態になると血中のタンパク質や脂質がグルコース(糖)と結合する割合が高くなり、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる生産物が多く作られます。

タンパク質や脂質は基本的に遊離した状態(結合していない状態)とならないと化学反応が進まないため、AGEsのように糖と結合した状態になると本来の機能を果たせなくなります。
さらに、AGEsは毛細血管を始めとして多くの細胞にダメージを及ぼします。
そのためできるだけ血糖値を急上昇させず、AGEsを体内で作らせないことは非常に重要だと言えます。

また、AGEsの血中濃度は肉を揚げたり焼いたりして摂取することでも高くなります。
これは肉に存在する糖やタンパク質が高温の過熱によって反応してAGEsへと変換されてしまうためです。
牛肉や豚肉に多く含まれる飽和脂肪酸はLDLコレステロールを高くする効果もあるので、過剰な摂取は控えた方が望ましいといえます。

最後に

健康のためには栄養のバランスが非常に重要です。
どの栄養素をどのようなバランスで摂取すれば良いのかについては厚生労働省が指針を出しています。
これについては栄養素の記事で解説していますのでぜひご確認ください。

参考文献

  • 遺伝子は、変えられる。――あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実(著者:シャロン・モアレム/出版社 : ダイヤモンド社 (2017/4/20))
  • ダイエットの科学(著者:ティム・スペクター/出版社 : 白揚社 (2017/4/23))
  • 細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム (著者:エリザベス・ブラックバーン/出版社 : NHK出版 (2017/2/22))