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栄養素の種類|役割|栄養素が吸収されるまでの詳しい過程

栄養素の種類|役割|栄養素が吸収されるまでの詳しい過程
2020年11月29日
栄養素の名前は知ってるけど、自分の体でどうやって吸収されるか、どういう影響があるか、どれくらい摂取すればいいかなどを把握できてる人は多くないと思います。今回の記事では各栄養素が持つ人体への役割と摂取目安量、および吸収過程について解説していきます。

栄養について

栄養素は大きく分けて6種類に分類することができます。
それぞれの栄養素は少なすぎても多すぎても体に悪影響が生じるため、
1日に何をどれだけ食べたらよいかの目安として厚生労働省が食生活の指針を定めています。
今回の記事では各栄養素が持つ人体への役割と摂取目安量、および吸収過程について解説していきます。

栄養素の種類

1.糖質

炭素と水素の化合物であり人体の主要なエネルギー源です。
糖質ダイエットなどの影響で近年悪者扱いされがちですが、糖質が不足すると体を構成するために必要なタンパク質や脂質が分解されてエネルギー源となってしまうため適正量を取ることは非常に重要です。
ご飯やパン、麺類に主に含まれ、一日に必要なエネルギー摂取量当たり50-65%を取ることが推奨されています。
非常に重要ではありますが、血糖値が上がり過ぎると代謝に悪影響が生じてしまうため、血糖値が上がりにくい低GIと呼ばれる玄米、全粒粉のパン、蕎麦などの摂取が推奨されています。
また、食事の際に糖質以外のものも併せて取ることで血糖値の上昇が抑えられることも研究により明らかにされています。

2.脂質

水に不溶で有機溶媒に溶解する化合物のことであり、糖質と並び人体の主要なエネルギー源です。また、細胞膜やホルモンなどの体の構成材料ともなります。
肉類や乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸と、植物油や魚介類、豆類に多く含まれる不飽和脂肪酸があり、一日に必要なエネルギー摂取量当たり20-30%を取ることが推奨されています。
飽和脂肪酸を過剰摂取すると血液中の LDL(悪玉)コレステロールが増加し、脳卒中や糖尿病、心血管疾患等のリスクが上昇することが明らかとなっており、
飽和脂肪酸の摂取量は一日に必要なエネルギー摂取量当たり7%以下に抑えることが推奨されています。
また、不飽和脂肪酸であるω-3 系脂肪酸(EPA、DHA等)やω-6 系脂肪酸(リノール酸等)は人体で合成できないため必須脂肪酸と呼ばれており、年齢やBMI、健康状態に応じた摂取量の目安が定められています。
日常的に不飽和脂肪酸系の植物油や魚介類を摂取することが推奨されています。

3.タンパク質

20種類のL-アミノ酸がペプチド結合してできた化合物であり、筋肉や臓器だけでなく、ホルモンや酵素、抗体等の人体の合成材料になります。
肉類、魚介類、卵類、豆類、乳製品に主に含まれ、一日に必要なエネルギー摂取量当たり13-20%を取ることが推奨されています。
20種類のアミノ酸の内、体内で糖質や脂質から作り出すことのできる11種類は非必須アミノ酸、作ることができない9種類は必須アミノ酸と呼ばれています。
タンパク質は主要な人体の構成物質であるため、食品から様々なアミノ酸を摂取することは非常に重要です。

4.ビタミン

上記の有機化合物以外に人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物のことであり、微量で効果を発揮します。
体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要があります。ビタミンは全部で13種類あり、水に溶けやすい9種類は水溶性ビタミン、脂に溶けやすい4種類は脂溶性ビタミンと呼ばれています。
野菜や魚介類、肉類に多く含まれていて、調理法によって吸収効率が異なるために様々な調理法で食品を摂取することが重要です。

5.ミネラル

無機質成分のことであり、人体の代謝を円滑に働かせるために必要です。
ミネラルも体内で合成することはできないため、食物から摂取する必要があります。ミネラルは肉類や魚介類、野菜等に多く含まれています。
どのミネラルも少なすぎても多すぎても悪影響が生じますが、特にナトリウムに関しては摂取量が多い傾向があるので注意が必要です。1日あたりの食塩摂取量は7.5g未満となっています。
また、野菜の摂取量が少ないとカリウムが不足し、脱力感や疲労感の原因となることもあります。
食品により含有する成分が違うのでバランスよく食品を摂取することが重要です。

6.食物繊維

人の消化酵素で消化することのできない物質のことであり、整腸作用があります。
人の消化酵素では分解することができませんが、ある種の腸内細菌は分解し栄養とすることができるので食品から摂取する必要があります。
これは上記の栄養素を吸収するために腸内細菌が大きな役割を担っているためです。
食物繊維は主に野菜に含まれており、理想的な摂取量は24(g/日)以上とされています。この量の食物繊維を取るためには、野菜を毎日350g摂取する必要があります。

栄養素が吸収されるまでの過程

各栄養素は口や胃、小腸で各消化酵素によって分解されます。
消化酵素は人体が合成するだけでなく腸内細菌も生産します。
糖質を例に挙げると、主要な多糖であるでんぷんは唾液や膵液中のα‒アミラーゼによって二糖のマルトースにまで加水分解され、小腸粘膜上皮細胞表面でマルターゼにより単糖のグルコースに低分子化されます。
タンパク質も同様に各消化酵素によって遊離アミノ酸に低分子化され、脂質もモノグリセリドと脂肪酸に低分子化されます。
これらの低分子化された栄養素は小腸にある腸絨毛で吸収され、血液やリンパ等の循環器系を通って最終的に肝臓に行きつき、様々な物質に合成し貯蔵されます。
貯蔵された物質は必要に応じて体の隅々の部位の毛細血管に運ばれ、細胞外液(組織間液)を経由して各細胞に取り込まれていきます。
各細胞に取り込まれた栄養素は細胞内の代謝で消費され、タンパク質や核酸の合成、ATPなどのエネルギー産生に利用されます。
そのため、栄養素が不足すると各細胞内の代謝が乱れ体に何らかの異常が生じてしまいます。
同様に特定の栄養素が多すぎても特定の化合物の過剰合成や栄養素の吸収不良が生じ代謝が乱れてしまいます。
人体が正常に活動するためには上記の栄養素は全て適正量必要でありどれも欠かすことができないと言えます。

まとめ

今回の記事では各栄養素が持つ人体への役割と摂取目安量、および吸収過程について解説をしました。
栄養素の名前をよく聞いたことあると思いますが、自分の体にどのような影響があるか、どれくらい取ればいいかなどを把握できている方は多くないと思います。
目安量の栄養素の摂取を心がけてみましょう。

参考文献