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腸内細菌とは|役割や人への影響|腸内環境を整える方法

腸内細菌とは|役割や人への影響|腸内環境を整える方法
2020年11月29日
今回の記事では腸内細菌とは何か、腸内細菌が人体に及ぼす影響、腸内環境を整える方法について解説していきます。

腸内細菌とは何か

腸内細菌とは一般に人体の小腸や大腸に存在している細菌のことを指します。
細菌とは核膜を持たない最も単純な原核生物のことであり、一つの細胞しかないので単細胞生物と呼ばれます。
よく混合されがちですが細菌はウイルスや菌類とは違います。
(ウイルスは細菌の1/100程のサイズの非生物であり核酸とタンパク質の構造体。菌類はキノコやカビのことであり細菌と同様に一つの細胞で存在するものもあるが核膜を持つ真核生物。)

全身の細菌の量を合わせると1.5-2 Lになると言われており、細菌は人体に多大な影響を及ぼしています。
特に存在割合が高いのは腸内です。大便の水分を除いた約6割は細菌及びその死骸です。
腸内細菌になり得る約3万種の細菌の内、一般的な人の体内には約1000種が合計数百兆個、1 kg以上存在すると見積もられています。
人の遺伝子は約2万5千個であるのに対し、腸内細菌の合計の遺伝子数は約1200万個にも上るため相当な影響を及ぼしていることが分かります。

人に良い影響を及ぼす細菌は善玉菌、悪い影響を及ぼすものは悪玉菌と呼ばれ、
状況(善玉・悪玉菌の存在比率や菌体数)によって人への影響が異なるものは日和見菌と呼ばれています。
善玉菌の代表例がビフィズス菌であり、悪玉菌はウェルシュ菌、日和見菌は大腸菌です。

人に及ぼす影響

腸内細菌は栄養の吸収や正常な健康状態を保つなどの役割を持ち、腸内細菌の構成(多様性、存在比率、菌体量)によって人体に様々な影響が生じています。

栄養の吸収

人は多様かつ十分な量の腸内細菌が存在しなければ十分に栄養を吸収することができません。
これは栄養の消化(食べ物の分解)に腸内細菌が大きな役割を担っているためです。

人体が持つ消化酵素の分泌では量・種類ともに不十分であり、腸内細菌が出す様々な種類の消化酵素や代謝物が必要です。
例えば、玄米等に含まれるミネラルの多くはフィチン酸と結合しており、
乳酸菌等の腸内細菌が排出した酸によって結合状態のミネラルが遊離してイオン状態とならないと人体に吸収されません。
また、食物繊維は腸内細菌の働きによって短鎖脂肪酸へと分解され吸収されます。

正常な健康状態を保つ

腸内細菌の構成が整っていると病原体の侵入を防くことができます。
これは一定の均衡状態が保たれていれば新たな病原菌が淘汰されやすくなるためです。

また、多様性の低下や悪玉の存在比率が高くなると体内に炎症が起こりやすくなり、体調の悪化、免疫機能の低下、気分の落ち込みなど健康に様々な悪影響が生じます。
実際に多くの研究で糖尿病、肥満、認知症、うつ病、アレルギー等のリスクが腸内細菌の構成と関連性があることが示されています。
逆に多様性が大きく善玉の存在比率が高い状態だと様々な病気のリスクの低下や気分の向上など様々なメリットが生じることが分かっています。

腸内環境を整える方法

腸内環境の状態を整えるためには、善玉菌を増やし腸内細菌の多様性を高めることが重要です。

食事

特に大きな影響を及ぼすのが食事です。
偏った食生活をするとそれに対応した偏った腸内細菌のバランスとなります。

例えば、空腹の時間が長ければ長時間栄養が無くても生きられる細菌や他の細菌を栄養にできる細菌が多くなります。
逆にカロリー過多になると栄養が豊富な状況で増殖に有利な細菌が多くなります。
食事の内容も重要であり、糖質が多い食生活だと糖質を栄養にしている細菌が多くなります。

このように、ある特定の栄養素やカロリーが過多もしくは過少になると腸内細菌のバランスが崩れます。
ありきたりな言葉になりますが、バランスが良い食生活を送ることは非常に重要です。

上記の点を念頭において科学的に推薦できる食材に関して提示していくと、
発酵食品は基本的には乳酸発酵で生産されているため、善玉菌である乳酸が多く含まれており有効だと言えます。
またポリフェノールは善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことが分かっているため、ワイン、コーヒー、紅茶、緑茶やチョコレートの適度な摂取はオススメできます。
同様に、食物繊維は善玉菌の栄養となりやすいため食物繊維を多くむ野菜類も有効だと言えます。
逆に糖質やタンパク質、動物性脂肪が過多になると悪玉菌が増えるとされています。そのため定期的にカロリー制限をすることも良いと言えます。

ストレス

また、ストレスも腸内細菌の構成に影響します。
腸内には人体の免疫細胞の7割が集中しており、ストレスによって腸内の免疫細胞から炎症性化学物質が分泌されるとそれが腸内細菌の構成に負の影響を及ぼします。
そのためストレスを感じない工夫をすることも重要です。

できるだけ抗生物質を取らない

同様に、抗生物質は腸内細菌を一掃し腸内環境を悪化させるため、できるだけ抗生物質を取らないことも重要です。
腸内環境が悪くなると病気にかかりやすくなり、抗生物質を飲む機会が増え、さらに腸内環境が悪化するといった負のループに陥ります。
抗生物質は人体を救う非常に有用な薬ですが、適切な時に使用しなければ悪影響が生じてしまうので安易な気持ちでは使用を控えた方が望ましいと言えます。

睡眠や運動

最後に、睡眠や運動も腸内細菌に影響を及ぼします。
これはこれらが精神状況と体内環境に深く影響を及ぼすためです。
十分な睡眠を取ることと適度な運動をすることも腸内環境の改善に役立ちます。

まとめ

腸内細菌とは何か、腸内細菌が人体に及ぼす影響、腸内環境を整える方法について解説しました。
腸内細菌は健康のためには必要なものになりますので、腸内環境を整える方法を試してみてください。

参考文献